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眼窩減圧術の保険の論拠と切られた経緯

20.10.12

カテゴリ:医院ブログ

眼窩減圧術の保険の論拠と切られた経緯

 

 

眼窩減圧術の保険が査定され、切られてしまいました

 

 

そこで、もともと議論の論拠になるものをここで書いておきます

 

 

健康保険での手術の解説本(寺島裕夫監修『2018-2019年版診療報酬点数表・手術術式の完全解説』医学通信社)にはこのように書かれています。

 

K234眼窩内腫瘍摘出術(表在性)

「腫瘍が主として眼球赤道部より前方に位置し、皮膚を介して触れることが出来るもの・・・・」(116頁)

 

K235 眼窩内腫瘍摘出術(深在性)

「腫瘍が主に眼球赤道部より後方に存在する場合の術式である。」(117頁)

 

 

かつK235眼窩内腫瘍摘出術(深在性)の適応疾患に甲状腺眼症が入っています。

「甲状腺眼症で眼窩減圧を必要とするとき、本術式で行った場合は本項(K235 眼窩内腫瘍摘出(深在性))で算定する」と明記されています。

 

 

これだけ見ると、眼窩減圧は、どの術式であったとしても、K235深在性となるのではないかと思います。

 

 

しかし現実には、まず愛知で保険が切られ、

 

東京でも保険が切られました(東京はK234に査定されました)

 

 

眼窩減圧は失明や生命の危険もあるような高リスク手術です

 

高度な技術を持っていないと行うことが出来ない手術

 

 

それをK234のような金額で引き受けることは出来ません

 

 

このため東京での眼窩減圧は中止し、

 

K235が適応となっている群馬県で眼窩減圧を続けてきたのです

 

 

 

群馬県では骨を削ることを条件とされていたので

 

眼窩脂肪の切除+外壁の一部切除(Basin減圧)を行っていました

 

 

 

そんな中、日本の眼科8月号にこのような文章が載ります

 

これは日本眼科学会が診療報酬の審査会に出した通達ですね

 

「甲状腺眼症に対する眼窩減圧術は、眼窩内腫瘍摘出術で算定する。その場合、手術方法が前眼部から眼窩内にアプローチする場合は〈K234 眼窩内腫瘍摘出術(表在性)〉で算定し、骨を処理し眼窩先端部付近までアプローチする場合(クレーンライン法等)は〈K235 眼窩内腫瘍摘出術(深在性)〉で算定する。」

 

 

群馬県では骨を削っていますので、やはりK235に該当するのです

 

 

しかし、数日前に群馬県の社会保険診療報酬審査会からこのような通達が届きました

 

「甲状腺眼症に対する眼窩減圧術は、K234眼窩内腫瘍摘出術(表在性)でご算定願います。また骨の処理(皮膚切開をして眼窩骨の一部を外し、手術終了時に戻す)を施行していない場合には、K235眼窩内腫瘍摘出術(深在性)は算定不可です。」

 

これは今後K235を請求する場合には皮膚を切開し、骨を外し、元に戻す、ということをしろ、と言われているのと同義です

 

 

 

僕は構いません

 

骨を外して戻すことも、皮膚を切開することも

 

日本国内のどの眼科医よりも素早く行うことが出来ます(自信アリ)

 

 

もともと留学前に山ほどやってたし

 

 

でも患者さんはどうですか?

 

皮膚を切開し、骨を外して戻すって

 

身体に無駄な侵襲を加えることになります

 

 

 

そもそも、このブログの一番最初に書いた、

 

「眼球赤道部より前」とか「眼球赤道部より後ろ」とか、どうでも良くなってきている?(笑)

 

この時点で、審査会の論拠が破綻しているんですけどね

 

 

 

 

 

これは前回のブログで書いた、患者の権利を示したリスボン宣言の

 

「医師は、常に自らの良心に従い、また常に患者の最善の利益のために行動すべきであると同時に、それと同等の努力を患者の自律性と正義を保証するために払わねばならない。」

 

これに違反しています

 

審査会のメンバーはすべて医師ですからね

 

 

今回関わった人たちが全員、リスボン宣言に違反しています

 

 

 

そして僕は既得権益の方々の憎悪を受けることが分かった上でこんな発信を続けている

 

 

 

 

それはなぜかと言えば、同じリスボン宣言にこう書いてある

 

「法律、政府の措置、あるいは他のいかなる行政や慣例であろうとも、患者の権利を否定する場合には、医師はこの権利を保障ないし回復させる適切な手段を講じるべきである。」

 

 

僕は患者さんが受ける正当な権利を代弁するし、発信も続けます

 

 

 

実はもう1つ、大きく危惧していることがあります

 

 

 

それは危険を伴う眼窩減圧術、これがK234でしか取れないとなると

 

今後、眼窩減圧を担う若手医師は出てこないと思います

 

高リスク、低リターンの仕事なんか、誰もやろうとしません

 

医者も人間ですから、失明のリスクまであるような手術、誰もやらないです

 

僕が開業するまで、ほとんど誰もやっていなかったのが証拠です

 

 

 

僕が引退した30年後は、きっと眼窩減圧は日本から消滅し

 

世界で最も遅れた眼形成手術を行う国になると断言します

 

 

 

 

苦情は下記にどうぞ

 

電話だと受付の方が可哀そうなので、出来ればFAXでお願いします

 

 

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※続きます! 次は裏で糸を引いている人の話をします

 

 

※読んで勉強になったり、面白かったと感じたら、いいね!をお願いいたします!

 

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